OROCHI2夢

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鬼は、外。



福は内。









今日は何故かこの言葉をよく耳にする。

そしてなぜか私は皆に豆を投げつけられる。






酒呑童子はそう不思議に思いながら城の廊下を歩いていた。



自分に向かって豆を投げる理由を聞いたが、葵に教えてもらえと言われ、酒呑童子は追い出されるようにして葵のもとへと向かった。











「―――――葵、ッ!」



葵がいるであろう部屋の障子を開けると、中から小さな粒がたくさん飛んできた。





「鬼はー外ー福はー内ー!」





部屋の中にいた葵は明るい声でそう言いながら、酒呑童子に向かって豆を撒く。




「今日は節分ですよー」



豆を投げる手を止め、葵は酒呑童子に悪戯っぽい笑顔を見せた。

しかし酒呑童子は呆然としたまま、表情を変えない。





「酒呑様?」


「………私の事が…嫌いになったのか………?」




不思議に思った葵が名前を呼ぶと、酒呑童子は、切なく寂しそうな表情でそう言った。




すでに他の者にその言葉を言われ、豆を投げつけられてはいたが、それが葵となると訳が違う。




「私は、邪魔者か………?」


「違いますよー!ふふっ、もう……そんな顔しないでください」





急にしゅん、とした酒呑童子の姿を見て、葵は少し困ったような、それでいてどこか楽しそうな笑みを浮かべた。







「節分って言って、今日は―――……」























私の故郷ではそんな風習があったんです、と最後に付け加えて、葵は節分というものを酒呑童子に説明した。









「でも、鬼は全て悪だなんて考え方、良くないですね。悪い鬼ばかりじゃないと思うのに」


「…私は、ここにいてはいけないのか………?」




酒呑童子は思い詰めたような表情で葵を見つめ、そう言った。





「まさか!酒呑様みたいに優しい鬼さんは、ここにいてください」




酒呑童子の大きな手を握り、暖かい笑顔で見上げつつ葵がそう言うと、酒呑童子は葵の腰に腕を回し、その体を抱き寄せて首もとに顔を埋めた。




「…ごめんなさい、驚かせてしまって。風習にならって、鬼である酒呑様に豆を投げましたけど、この場合は、鬼は内、ですね」




前屈みになった状態で葵を抱きしめている酒呑童子の背に手を添えて、葵は笑った。








「……嫌われたわけではないのだな」




顔は埋めたまま、酒呑童子がつぶやいた。





「当たり前です。そんなにしょんぼりしないでください」





ふわりと笑い、葵は子供をあやすような優しい手つきで酒呑童子の頭をよしよし、と撫でた。








「…………葵……」



嬉しいのか、酒呑童子は葵の首もとに頬を擦り寄せ、時折、軽く口付けをする。




「っ……ん、くすぐったいです、酒呑様」




酒呑童子の髪が肌をくすぐり、葵はそのもどかしい感覚に、体を少し捩った。









「………葵に嫌われていないなら、それでいい」









満足したような穏やかな声で、酒呑童子はそうつぶやいた。










「……………あいにく、嫌いになんて、なれないんですよ?」


「……そうか、私と同じだな」






小さな囁きを聞いて、酒呑童子は葵を見つめ、笑った。








そして、優しい口付けをひとつ―――――――――。
















鬼と過ごす23












優しくて温かい鬼さん






さぁ、こちらへ



















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初めてまともな季節物書いた気がする……!

しかし内容が薄い/(^o^)\
仕方ないですこれが私の小ネタクオリティ!!


最初のほうで酒呑に豆を投げていたのはたぶん昭ちゃんとかその他もろもろが面白がって投げてきたイメージで。甲斐姫とかくのとかが。


それももともと夢主が、私の故郷にはそういう風習があって〜って教えたのがきっかけとかそんな感じ!

予想より長くなった……というかダラダラと無駄に長くなった……


しかし節分ネタは書きたかったので書けて満足!(*^□^)

 

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