OROCHI2夢
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この世界に迷い込み、必死に逃げ回っていた所を太公望に助けられた、あの時からもう数ヶ月。
まだ妖蛇に対抗する戦力は十分とは言えない討伐軍だが、少しずつ仲間は増えている。
葵は、豊富な薬の知識を買われ、救護にあたったり、太公望と共に仙界の薬をも使いこなしながら爆薬や毒薬などの試作にも関わっている身。
ある日の事――――――。
戦を終えた太公望や義経達が居城へと戻ってきた。
葵も軍の一員としてついて行く事もあるが、今回は有利な追撃戦という事で短時間で終わらせるため、主力軍のみで行軍していた。
しかし、今回の主力軍の凱旋はいつもと様子が違う。
見知らぬ人―――――いや、『人』と呼ぶにはどうしても違和感の残る人物が、そこにはいた―――――――――。
first contact...
(誰、だろう……あの人………)
城で待っていた兵士達も、その人物を見てざわめいている。
燃え上がるような赤い髪、褐色の肌、体には模様があり、脚は鱗のような物で覆われているように見える。体格も人では考えられないほど大きい。
そして何より、額から伸びる二本の角が、一層異形の風格を漂わせている。
(鬼……………?)
太公望達に連れられて城の中へ向かうその『鬼』を、葵は見つめていた。
不思議と、目を離せなかった。
(………脚に、傷が)
鱗のような物に血がついている。
そして、体に描かれた赤い模様のせいで分かりづらいが、太い腕にも傷を負っているようだ。一部だけ濃い赤色、血の色が見えた。
普段から病人の世話や怪我をした兵の救護をしているせいか、葵は傷を見分けるのが速い。
放っておいて平気なのだろうか、とぼんやり考えていると、太公望達の姿はいつの間にか城の中へ消えていった。
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