OROCHI2夢
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「――――――すっかり治りましたね!」
あれからまた数日が経ち、葵は酒呑童子の傷の具合を見に来ていた。
包帯をほどき、薄くなった傷痕を見て葵は笑顔を見せる。
「あぁ、痛みもない。葵の薬は良く効くのだな」
「はいっ!太公望様から、仙界のよーく効く薬草もいただいてるので、怪我ならお任せください!」
酒呑童子の言葉に、葵は胸を張って、笑顔で答えた。
「脚の傷も治ってますし………あ、そういえばコレって………鱗なんですか?」
脚の包帯もほどき、傷が癒えているのを確認すると、葵は酒呑童子の脚にある鱗らしき物をツンツンと触り始めた。
「鱗、だと思うが………ふっ、くすぐったいな」
「えっ、そうなんですかっ弱点発見ですねっ!」
脚をぴくりと反応させた酒呑童子を見て楽しくなったのか、葵は明るい笑顔を見せ、手を止めずに鱗を触る。
「こら、遊ぶな」
「だってー!」
「…………ふ、まったく…」
相変わらずくすぐったいが、葵が楽しそうに笑っているのを見て、酒呑童子も自然と笑みがこぼれた。
なぜか、葵といると自分自身、笑顔になる事が多い。そして、不思議と気持ちが穏やかになる。
酒呑童子の中で、葵という存在は、着実に大きな物となっていた――――――――。
first emotion...
その日の、夜。
我が故郷では、鬼は人を拐うという言い伝えがある―――――。
小さな宴があり、酒呑童子は隅で酒を飲んでいた。
周りの者は酔って騒いでいる中、一人、義経だけが酒呑童子に視線を向けていた。
鋭い、眼差し。
以前より、義経からは多少の殺気を感じていたのが事実。
敵対視しているのかと尋ねると、先程の言葉が返ってきた―――――。
―――――――――
宴も終わり、酒呑童子は風呂へ向かった。
やはり鬼という存在は、恐れられるものなのだろう。
存在自体が危険と見なされ、遠ざけられる者……。
義経の反応も仕方のない事だと、ぼんやり考えながら、酒呑童子は湯に浸かっていた。
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