OROCHI2夢

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────────朝日が眩しい。

晴天の一日となりそうな、朝。









寝起きでまだ少し頭がぼーっとしている状態のまま、酒呑童子は顔を洗おうと城の庭にある井戸へ向かっていた。








「ほぅ、珍しく早い起床だな」


「………あぁ」





その途中、庭に面した部屋からでてきた太公望が酒呑童子に声をかけた。









「葵に起こされた。たまには規則正しい生活をしろと怒られながらな」




立ち止まって太公望にそう話すと、酒呑童子は頭を掻いた。





「ほう」


「また、酒を飲んでそのまま寝てしまっていたらしい」




目的の井戸はもうすぐそばにある。
苦笑いを浮かべながら、井戸へ向かうと酒呑童子は汲んだ水を勢い良く顔にかけた。







「まだ酒が残っているのか、体が重い。もう少し寝ていたかったが」





水を拭う布を持ってきていない酒呑童子は、ぶるぶると頭を左右に降って強引に水を飛ばしながら、笑いながら本音をもらした。



文句を言っているようにも聞こえるが、酒呑童子の表情は明るく、どことなく嬉しそうだと、太公望には分かる。












「相変わらず、物好きだな」


「?」



小さな笑みと共に呟かれた太公望の言葉が耳に届き、酒呑童子は疑問符を浮かべた。








「自ら、素性の知れぬ者…ましてや鬼の大男と関わり合うなど」







そう続けられた言葉に、酒呑童子はしばらく思考を巡らせた。

太公望が言っているのは、自分ではなく葵に対してだと、少ししてから気付くと酒呑童子はまた微笑んだ。








「初めは、私を恐れていたがな」





視線を地面に落とし、初めて会った、あの時を思い出しながら酒呑童子は囁いた。















first happiness...
















「恐れる?葵が?」




太公望は少しだけ目を見開いて酒呑童子に訪ねた。







「あぁ。そんな素振りは見せまいと恐怖を抑えて接していた」


「恐ろしいと思うのなら、近付かぬのが人の子の常だと思うが」





太公望は顎に手をあて、ふむ、と小さく声をだす。







「…………『優しさ』ゆえだろう。だが、物好きというのも間違いではない気がするな」





ふっ、と笑った酒呑童子の笑みは柔らかく、暖かい。
こうやって柔らかく笑うようになったのは、妖魔軍から離れ新しい仲間に囲まれてからだと、そして葵が多かれ少なかれ自分の感情を揺さぶり、変化を与えているとはまだ気付いていない。










太公望も笑みを浮かべると、穏やかな口調で酒呑童子に告げた。









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