OROCHI2夢

□プロローグ
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あの妙な空が見えているのは、私だけなのだろうか。

もしかすると他の人からすればあの色は普通なのだろうか。


自分の考えが正しいのか間違っているのか、そんな事さえわからなくなってきた。







ただ、怖い。



空が禍々しい色だという事も、周りの人は何も変わりないという事も。





気付けば私は、家の方向へと走り出していた。

一人でいる事に耐えられなくなり、その場から逃げるようにただ必死に家を目指す。








私が暮らす家は町から少し離れた村の中でも木に囲まれて奥まった場所にあるせいか、町への行き帰りは多少時間がかかるが、今日は一段とその道のりが遠い気がした。




が、もう少しで家に着くという時。

人気の少ない道端であまりに荒い呼吸のせいで息苦しくなった私は、走る速度を落とし、咳き込みながら立ち止まった。













───────まだ家に着かないなんて、おかしい。





持っていた薬箱をぎゅっ、と抱きしめてそう心の中でつぶやいた瞬間、周りが、暗くなった。

正式には、私の周りだけが、妙な色の影に包まれたのだ。





恐る恐る空を見上げると、遠ざけて逃げてきたはずのあの禍々しい色の空、その渦を巻いた中心部が私の真上に───────……。

























───────────





──────


















ふと目を覚ますと、まず視界に飛び込んできたのは草だった。

草と言っても、青々としたものではなく、赤黒いような色をした、だが枯れているというわけでもない、不思議な草だった。







体を起こすと、そこは見知らぬ場所。






私が倒れていたのは荒れ野のような場所だった。

所々草が生えている場所があり、しかし土がむき出しの場所もある。









そして、空が───────────あの禍々しい色をしている。



ただ違うのは、今回は空一面、あの色だという事。


ふと気付けば、どこからかゴオオオオ、という地響きのような音が聞こえ、生暖かい風がふいている。だがあたりに人影はなく、ただ気味が悪い。




ここは何処なのか、自分自身に何があったのか、何一つわからない。



ただ、私のすぐそばにはいつも持っている薬箱があった。


逃げる時もずっと抱えていた薬箱、その存在は、今のこの状況を「夢ではない」、と語っているようだった。







ここは、もといた場所ではない。

住み慣れた土地ではなく、思い出の詰まった家もない。




何が起こったんだろう。

私は、どうすればいいんだろう。









「────────ッ!!」





何も分からなくて、急に、心臓が縛り付けられたような感覚に陥った。


恐怖と不安と孤独。



立ち上がり足を動かす気力もなく、私はその場で、唯一記憶を繋ぐ薬箱を抱きしめて、涙を流した。











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