OROCHI2夢

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若武者は源義経、そして強面の人は福島正則だと、二人は名前を教えてくれた。


二人だけじゃない、この討伐軍には多くの武将が集っている。





その中で、あの銀髪の人───太公望様は、私たち人間とは少し違った人だという事を知った。

仙界という、この世界とも、私がもといた世界とも違う場所から来たのだという。

そして、討伐軍が倒そうとしている“遠呂智”も、元はその世界にいたと言うのだ。







「今我々がいるこの世界は、遠呂智の力によって時代や場所すら違う世界が融合されたものだ。遠呂智を倒さねば、貴公らは元の世界には戻れぬぞ」



太公望様はそう教えてくれた。



そして、討伐軍の皆さんは一人でも多く仲間を増やし遠呂智に立ち向かうために、太公望様と同じく仙界から来たというかぐや様の力で時を渡り、過去に戻って多くの方を助けているのだという。






「葵、貴公も遠呂智の力によりこの世界へ来た。周りの武将達と同じ境遇なのだ。ならば貴公にできる事でこの討伐軍を支えてもらわねばな」




そうして私は、討伐軍の薬師兼医者のような役割となってしまった。

怪我をした方たちの治療のために戦について行く事も多く、私はそこで何度も遠呂智の力そのものである妖蛇を目にした。


初めて見た時はこんなものに勝てるわけがないと絶望したが、策を駆使し、強い武力で妖蛇や妖魔を倒す皆さんの姿を見て、不安は少しずつ薄れてはいったが、消える事はない。


それは、誰しも同じだった───。























──────────







「浮かない顔をしているな」


「…太公望様……」




討伐軍に加わり、数ヶ月の時が過ぎた。

徐々に皆さんとも打ち解け、そして頼っていただけるようになった私は、敵は強大ながらも今の生活が嫌ではない。


だが一つだけ、気が進まない事がある。








「兵器開発に携わるのは嫌か?」




そう、私は、兵器の開発に関わっている。




「………嫌、というわけでは…」





もともと医薬を扱っていた私は、太公望様に仙界での薬の知識も教わり、また、爆薬や毒薬の作り方も教わった。

それを、兵器に使う。どうすれば効率よく、敵を撃てるか。敵を、殺せるか──────。






今まで誰かの傷を、病を治すという事ばかりだった私は、兵器という物が恐ろしかった。




「大型兵器は、数多くの妖魔を一撃で確実に仕留めるには重要な物だ。それは貴公も分かっているだろう?」


「はい…」









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