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□真相、心理
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今月は三成甘夢(最後だけ微裏)です。
今回も短いので小ネタ感覚でどうぞ。
――――――いずれお前も、俺から離れていくつもりなのか――――?
三成様にそう言われたのは、昨夜の事。
いつものように遅くまで政務をしているので、そろそろお休みになって下さいと言いに行った時だった。
私はその言葉の意味を確かめようとしたが、機嫌が悪い様子の三成様は答えてくれず、結局部屋から出されてしまったのだ。
―――――――最近は、同じ豊臣家家臣の間でも、三成様と対立する人が増えている。
今まで共に学び、親しかった人でさえ、三成様から離れていく。
だから三成様はあの時、私にあんな言葉を投げ掛けたのだろう。
ふとそう理解したのは、三成様の事を陰で悪く言っている人達を見かけた時だった。
でも私は違う。
私は、三成様の素直じゃない所も、それでいて優しい所も、全部知って寄り添う事を決めたのだ。
だからこそあの言葉を思い出すと、じわじわと胸が締め付けられる。
今日は三成様とまともに会話さえできていないから、余計に。
「―――――どうしたんです?姫さんまでそんな深刻な顔しちゃって」
庭の見える廊下で立ち止まっていると、後ろから不意に声をかけられた。
「殿と同じ表情ですよ」
「左近様……『姫さん』なんて呼び方はやめてくださいと何度も言っているのに」
「別にいいじゃないですか。間違いじゃないんですし。で、何かあったんですか?」
「…………………ッ」
―――――――――
―――――
「まぁ、ここ最近は殿と対立する人が日に日に増えてますからね。殿も内心落ち着かないんでしょう」
「でも、私は三成様から離れていくつもりなど………」
「そんな事、殿も分かってると思いますよ。ただ、一番離れてほしくない人だからこそ、不安になったんじゃないですかね」
昨夜の出来事を、私は左近様に打ち明けた。
そういえば三成様は少し、辛そうな声色だった。
「そう………だったらいいんですが……私は、何があっても三成様から離れるなんて有り得ないのに」
「はいはい。そーいう台詞は俺に言わずに殿に言ってくださいよ」
「……ご、ごめんなさい……」
少し呆れたような笑顔を浮かべた左近様にそう言われ、頬が赤くなるのが分かった。
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