拍手文

□真相、心理
2ページ/4ページ








――――――







「三成様ッ」







その日の夜、私はやっと軍義も終わって政務のために一人で部屋へ入っていった三成様の背中を追った。











「三成様……」




部屋に入り声をかけると、三成様は一瞬私を見て、すぐに目を反らした。











「…………昨夜は……」

「私はッ!何があっても三成様から離れませんから!三成様の側にいたいのです!離れたくないのです!どこにも…行きませんから………」






何か言おうとした三成様の言葉を遮って、私は自分の思いを吐き出した。


三成様は驚いた様子で私を見つめている。









「だから………あんな事言わないでください……三成様は…………わ、私が……私がどれだけ三成様を想っているか分かってらっしゃらないのです!だからあんな事を……ッ!」





言いながら恥ずかしくなり、顔の熱が上がる。
そんな顔を見られたくなくて、俯いて言葉を紡いでいると不意に目の前が暗くなり、唇に何かが触れた。







「………ッ、ん……!」






それが三成様の唇だて気付いたのは少し後で、顔がさらに熱くなった。

抱き寄せられ、頬に手を添えて上を向かされると、瞼や額、耳にも次々と口付けが降ってくる。












「……馬鹿が………恥ずかしい事をスラスラと……」


「だ、だって本当の事です!三成様が分からず屋なだけで、ッ」





三成様を見つめてそう言うと、途中でまた強く抱き締められ、少しだけ額が三成様の肩にぶつかった。








「分かったから少し、黙れ」





抱き締められる前、少しだけ見えた三成様の顔も、赤かった。

照れ隠しなのだろうかと思うと何だか可笑しくて、余計に愛しくて。











「…………すまない。嫌な思いをさせてしまった。本心ではない。ただ…不安で…………」


「…分かってますよ。安心してください、離れろと言われたって、私は絶対離れませんから」






密着していた身体に隙間をあけて、悪戯っぽい笑みを三成様に投げ掛ける。















「……ふん………お前もなかなか頑固だからな」





三成様の表情が、思い詰めたようなものから柔らかな笑みに変わった。







「三成様に言われたくありません。三成様のほうが頑固です」


「な………ッ」







口を尖らせて冗談ぽく言うと、三成様の眉がぴくりと動いた。




















.

次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ