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□ギュッ、と
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「……ん…………三成、様………………?」
―――――目が覚めると、隣で寝ていたはずの三成様の姿は無かった――…………。
『ギュッ、と』
三成様は戻ってこない。どこに行ったのかと、城中を捜したが見つけられなかった。
が、人に尋ねて回るうちに三成様の行方はすぐに発覚した。
「幸村様!!」
「おや、どうかしましたか?」
「三成様がッ……戦に行ったと聞いたのですが………」
走り回ったおかげで息は整わず、髪もいつもより乱れた状態で私は幸村様に駆け寄った。
「あぁ………昨日の夜遅くから、この城を出ていかれましたよ」
少しバツが悪そうに、幸村様はそう答えた。
「ッどうして……!私何も聞いてませんよ!?」
「黙っておけと言われたので…………」
「なッ………!」
幸村様の話によると、三成様は昨夜私が寝静まった後に城を出て、秀吉様達と共に軍を指揮して戦へと赴いたらしい。
なぜ何も言わずに戦へ行ったのだろうか、大丈夫なのだろうか…………
そんなことをずっと考えながら三成様の帰りを待つが、私の心配とは裏腹に三成様はなかなか戻ってこない。
文を書いたが、向こうが戦の最中ということもあって届いているのかさえも定かではない。
独りの夜に慣れる前に、嫌気が差してきてしまった。
三成様が戻ってきたのは、それから何日も後のこと―――――。
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