Dream!

□貴方の魅力を
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「─────失礼します」



大多数の人間が眠りについている時間帯、葵はまだ起きていて、とある部屋へ来ていた。





「元直様、そろそろお休みになられたほうが…」



扉を開けた先の部屋にはまだ灯りがついていて、その中にいる徐庶もまた、眠りにはつかず卓に向かい書簡に筆を走らせていた。
卓には多くの書簡が置かれ、徐庶が座っているすぐ横にも置いてある。




「一段落つくまでは、もう少し頑張るよ」


「お身体に障りますよ」


「こんな時間になってもまだ寝てないのは葵も同じじゃないか」



視線を葵のほうに向け、徐庶は緩く笑う。

そうですけど…と微かに頬を膨らませて小さく呟きながら、葵が持ってきていた茶を卓に置くとありがとう、と声が返ってきた。





「こんな俺なんかにも仕事を与えてもらえるんだ。きちんと果たさないとと思って」



早くこなしてしまったほうがいいだろうし、と付け加えて徐庶はまた難しい事が書いてある書簡に目を向けた。




「………………私、元直様のそういう所嫌いです」


「え?」




徐庶の隣に座ると、茶を乗せていた盆を横に置いて葵はふとそう呟いた。

徐庶が葵を見ると、不貞腐れたような表情をしている。






「すぐ『俺なんか俺なんか』って。元直様は才もあって素敵な方なのに」




机に置かれた書簡を一つ取り、書かれた内容をただぼんやり見ながら葵は言葉を続ける。




「……それに私は、元直様の全部が好きなんです。なのに元直様自身がそんな事を言ってしまったら、私が間違ってるみたいじゃないですか…………」



不満そうな、切なそうな口調で葵はため息混じりに言う。
そしてそれは、徐庶からすれば予想していない返答だった。






「…葵………」


「だっ、だから、あまりご自身を悪く言わないでください!私はっ、元直様の素敵な所も、かっこいい所も、可愛らしい所も…たくさん知ってるんですから!」



好きだ、などとさらりと自分から言っておいて今さら恥ずかしくなったのか、葵は急に慌てて早口でまくし上げた。





「元直様が思っている以上に、元直様は素敵な方なんですよ………」



視線は合わせず、ほんのり赤くなった顔を見られないようにと葵はうつむいてしまう。

膝に置いた書簡を握ったままだが、視界に入っているものの内容などは頭に入ってこない。



「葵」



名前を呼ばれたと同時に、徐庶の手が葵の手に触れる。

照れてしまった自分を落ち着かせようとしていた葵は少し驚いて小さく体を震わせた。







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