Dream!

□馬鹿と言って、その声で
1ページ/2ページ








それは、思いがけず唐突に始まった。




「ぃ、や……っ!賈充さ、ま…………!こんな…どうされたんですか……!」


普段より幾分か乱暴に押し倒され、私は思わず後退りしてしまう。が、賈充様は手を止める気配もなく、私を上手く押さえ込むといきなり秘部に指を這わせてきた。




「や、ん……っ!!」


ぬちり、と指がナカに押し入れられる。しかしそこはまだほとんど濡れてもいない。

急いたように入ってきた指の、いつもの甘い快感とは違った違和感と、賈充様から感じる冷たい雰囲気に少しの恐怖まで覚えてしまう。




「…離れられぬようにするだけだ、俺から」



よく見せる不敵な笑みとは違い、冷たく、どこか見下したように笑うその表情の真意など分からないが、今はただ怖い。
私の知らない賈充様が、目の前にいる。




「っ…!やだっ…だめ、です!賈充、様!っぅ………いっ…!」



指での愛撫もほどほどに、まだ受け入れる準備など満足に整っていない秘部に賈充様の性器があてがわれ、慌てて制止の手を伸ばしたが間に合わなかった。
間に合ったとしても、私の制止の力など敵わないとわかってはいるが。



「っ………や…!いっ……うぅ……っ!」


容赦なく浸入してきた性器に、私の身体はやはり痛みを感じた。ぎゅっと強く目を瞑って痛みに耐えていると、ふと頬に手のひらが触れる感覚がして、私はゆっくりと目を開ける。




「痛い、か。その痛みも覚えておけ。俺から与えられた痛みだ」




口角を上げて笑うその笑い方はいつもの賈充様のようにも見えるが、違う。怖い目をしている。




「賈充さま……っいや……こんな、の…いや…………ッ!」




賈充様の考えが分からずただ怖くて、だがいつもと違う賈充様がなぜか少し苦しそうに見えて、私は力一杯拒む事ができなかった。



「嫌、か……だが仕方ない。お前の記憶にも、そして身体にも染み込ませなければな」


「か、じゅ…様………ッいつも、の……賈充様、じゃない……っこんなの…!」



賈充様が動くと、まだ鈍く痛む。だが、痛みがどうこうと言うよりも賈充様が明らかに今までと違うという事が怖くて、不安で。

いつもなら、急に行為が始まったとしても口付けをして、そして優しく名前を呼んでくれるのに。もっとちゃんと、快感をくれるのに。


少し、寂しい気持ちが胸を巡る。



「やだ………やだぁ……ッ」


じわり、と涙がにじむのが分かり、一層胸が痛む。
愛しい人に恐怖を抱いて理由も分からずただ強引に抱かれるのがこんなに苦しいなんて、知らなかった。

目を、開けたくない。嫌だと思いながら抱かれる相手が愛しい人だと認めるのがつらくて、私はぎゅっと目を瞑る。

と、まぶたにそっと何かが触れる感触がした。







「………お前の心を揺らす者など、消えてしまえばいい」



低く、今までより小さな声で囁く賈充様の声が聞こえて私は思わず目を開けてしまう。
まぶたに触れたのは賈充様の唇で、涙を拭う啄むような口付けが繰り返し降ってくる。



「賈充、様……?」


張り詰めた雰囲気が変わった気がして、私はやっと賈充様を見つめる事ができた。







.

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ