拍手文2

□四月馬鹿
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「元姫が謝る事じゃないよー」




むしろ司馬昭様に何か教えてもらって、それを嬉しそうに私に話す酒呑様は可愛らしいくらいなのだから。








「そう、だけど………子上殿は本当に…………!」


「……元、姫?」






何か嫌な事でも思い出したのか、元姫は急に司馬昭様の事で怒り始めた。






「いつも一言目は『めんどくせ』で始まって………!愚痴ばっかり……!!」


「…………元姫、落ち着いて」
























それから私はしばらく元姫を宥めて怒りの炎をどうにか抑え込んだ。






























「子上殿に対する愚痴をこぼすなんて、これじゃ結局子上殿と同じね」




その後、苦笑いを浮かべてそうつぶやいた元姫に手を振って、とりあえず私は元姫とわかれた。























本を持って自室へ向かい、廊下を曲がった時。

部屋の前に、酒呑様が立っていた。





















「酒呑様………どうかされました?」


「―――――……ッ」







突っ立っている酒呑様に声をかけると、私に気付いていなかったらしく少し驚いた様子で私を見た。








「………………すまない………」


「え?」





酒呑様は私を見るやいなや、つらそうな表情を浮かべて小さくつぶやいた。










「……酒は、飲み過ぎないようにする…………髪もきちんと乾かす……………だから」






うつむいて視線を落としていた酒呑様が、私を見つめる。










「…………私の傍から、離れないでくれ………」





つらく、苦しそうな表情。


そして、絞り出したような声。











「嫌い、など…………もう聞きたくはないのだ………」










少し背中を丸めて、泣きそうな、しょんぼりした酒呑様の言葉で私は何の話か確信を持った。










「…酒呑様………」




途端に、その言葉や酒呑様の気持ちが嬉しくなって、私はそっと酒呑様に体を寄せた。
















「酒呑様、今日は嘘をついても良い日なのです」





司馬昭様に何も聞かなかったのかな、と思いながら酒呑様を見上げ、笑顔を浮かべてそう告げる。


しかし酒呑様はもちろんその意味を把握できなくて。





















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