無双過去夢
□貴方のためなら
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あなたに喜んでほしいから。
私は何でもいたします――――――。
『貴方のためなら』
音を立てずに葵の部屋に入ると、葵はいつもと変わりない様子で静かに自らの黒髪をといていた。
その背後に近付き、久々に見る姿を目に焼き付けながら、そっとその黒髪に触れる。
「っ小太郎様!!」
すると小太郎に気付いた葵は多少驚きながらも嬉しそうに振り返った。
「お帰りなさいっ!ケガは、ありませんか?」
抱きつきながら、葵は残党討伐に行っていた小太郎の体を見ながら心配そうに尋ねる。
「……あぁ。」
「よかった!!」
小太郎の返事により一層笑顔になりながら葵はまた抱きつく。
その小さな体の温もりを感じながら頭を撫でると葵は気持ちいいのか、仔猫のように頬をすり寄せてきた。
「……寂しかったか?」
「………もちろん。」
「我がいない間、他の男に抱かれたりなどしていないだろうな?」
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