無双過去夢

□苛メタイ欲望
1ページ/16ページ













――欲望に勝てないのが人間の宿命………




………俺も、お前を見ていると欲望に勝てなくなる―――……










『苛メタイ欲望』











秀吉の幕下に加わって数ヶ月が経った。


最近はさほど大きな戦もなく、俺は四国全土の安寧を託されている。


とはいえ、四国全土を見渡せるわけではなく、地方では悪行を働く大名もいれば小規模な一揆が起きることもある。

今日も俺はその対応に追われていた。








(………………面倒だな)



軍議が終わり、俺は書類に目を通しながら心の中でそう呟いて自室へ向かった。









―――――……

部屋に戻ると、そこには何故か丸まって眠っている恋人の姿があった。




(……葵…)


そっと近付き、髪を撫でる。




「俺を待っていたのか?」


頬に触れながら話しかけると少しくすぐったそう頭を動かしたが、すやすやと寝ている葵は起きる気配がない。



(猫みたいだな………)




小さく微笑み、俺は葵が起きないように気にしながら机に向かい、書簡に筆を走らせた。






.
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ