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□序章
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―――――仕事を始めて2年、一人暮らしを始めて、1年。


初めの頃は実家から仕事先へ通っていたが、そこそこ距離があったため、交通費だけでそれなりにお金を消費していた。
それならいっそ仕事先の近くで暮らそうかと決意し、最初の1年はお金を貯めて、2年目からようやく一人暮らし。

実家からは離れたが、帰ろうと思えば帰れる距離なので親もそんなに心配はしなかった。

とりあえずもう自分で稼げるようになったので、親には迷惑をかけないよう、のんびりと一人暮らしを楽しもう。






―――――今現在、私の城となっている賃貸の部屋は、一人暮らしには少し広い。

広いリビングに、キッチン、寝室、さらにはご丁寧に和室まで。
トイレとお風呂は別々、これは重要。しかもお風呂もそれなりの広さと来た。言うことなしである。

1階ではあるが、セキュリティ良好、陽当たりも良好、おまけに中庭までついてきた。雑草まみれなので、押し付けられた、という表現の方が正しい気がするが。


これは2、3人で暮らすぐらいがちょうど良いのではないかと思う広さなのだ。


我ながら、良い部屋を見つけたと感心。家賃は少し安いぐらいで、私にはもってこいなのである。

不動産屋によると、曰く付きだそうだが(そのおかげで通常より家賃が安くなっているらしい)。
幽霊を見ただの何だの、前の住人、前の前の住人はあまり長く保たなかったと聞いたが、今のところ私には何もそのような災難は降り掛かっていないので良しとする。

こんなに良い部屋なのに住む人がいないのを不審に思って、理由を聞けば案の定曰く付きだと言われ、さすがに住み始めた頃はお風呂に入る時少しビクビクしていたが、歌を歌いながら入ればそういう類の物は寄ってこないと聞いたので(友人に)毎回熱唱しながら入っている。今のところ問題なし。



エアコンや冷蔵庫などは自費で取り付けたがそこは想定の範囲内。






と、いうわけでこの家は私の城と化している。とりあえず幽霊や何やらが出てこない事だけを願いながら、日々過ごしているのです。









そして今日も、仕事を終えて我が城に帰ってきました。



……この日から、自分自身の日常が180度回転すると、知らないまま―――――――…












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