Undaily!
□第2話
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「で?ここはお前の家だと言ったな」
清正が、初めて目にするであろう、テレビやソファーに視線を移しながら言う。
「……はい」
「葵……といったな、俺達はこのような屋敷を今まで見た事がない。お前の家という事は認めるが、この屋敷が建っている……この場所は何処なんだ?」
清正は最もな質問をした。
だが、私はこの質問に上手く答えられる自信が無い。
いや、事実を事実のまま伝える事は出来るが、私が答えたところで、目の前にいる彼らを納得させられる自信が無い、と言った方が正しいのだろう。
何せ、彼らからすれば、ここは――――――何百年も先の世界なのだから。
「え、と……、まず、今皆さんがいるこの世界は、間違い無く、日の本です」
何から説明すればいいのか、私の脳内は様々な言葉が混み合っている。
とりあえず『日本』ではなく、『日の本』という表現を選んだ。
「――――ただおそらく、皆さんがいた日の本よりも、約400年ほど未来なんです」
正式に言えば彼らはゲーム世界の住人なので、未来と言うよりも「世界」自体が違うのだが。この際、この事実は無視だ。
「―――――未来?なぜそんな事が言える?」
冷や汗をかきながら説明する私に向かって、三成が呟いた。
「…………皆さんの格好、そしてお名前を聞いて……確信しました。皆さんは――――戦乱の世、豊臣秀吉さんの時代の方ですよね?」
「――――――!」
秀吉さんの名前を出すと、全員がかすかに反応を見せた。
特に三成と清正は、他4人よりも少しだけ反応が大きいように思えた。
「貴様、秀吉様の事を知っているのか」
三成は相変わらずの貴様呼ばわりだが、そこは気にしない。
「はい……。秀吉さんの事は、後世の世に広く伝わっています。秀吉さんの事だけでなく、もちろん、皆さんの事も」
私がそう言うと、また、全員がぴくりと反応した。
「秀吉様の事を知っているなら、早く秀吉様の所へ案内しろ。俺達はこんな場所にいる場合ではないのだ!」
三成が語気を強くして言う。
しかし、この世界に秀吉さんはいなくて、どうする事もできない。
「出来ません……だって、ここは皆さんのいた世界よりはるかに未来なんです。秀吉さんはこの世界にいないし…………」
「葵殿はなぜ、秀吉殿や我らの事をご存知なのですか?」
幸村は正座をして、じっと私を見つめる。
「………皆さんの事は、歴史として、現代―――未来にも、伝わっています。だから、皆さんのお名前や、仕えていた人物ぐらいは知っていますよ」
たとえ知りたくなくても、歴史は学校で習わなければならない事なのだ。本当は、戦の結果やその後の展開なども知っているが、私はあまり歴史に詳しくない、という事にしておいた。
彼らに結果を全て伝えても、それは酷になるだけだと思ったから。
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