Undaily!
□第5話
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住んでる部屋が1階でよかった、としみじみ思いながら、とりあえず服を持って部屋に向かう。
これだけの買い物を移動時間含め約1時間半ですませた自分はなかなか出来る女だ、なんて訳の分からない事を心の中で呟いて、一人で頷いておく。
ガチャ、
思い荷物を持ってドアを開けると、テレビの音声と、話し声が聞こえた。どうやらテレビは破壊されていないらしい。
「帰ってきましたーすみません、誰か荷物運ぶの手伝ってくださーい」
玄関でそう言うと、バタバタと足音がした。
「葵殿、お帰りなさいませ」
メイドさんのようなお出迎えをしてくれた幸村に少し笑ってしまったが、家に帰ってきて誰かが迎えてくれるというのは新鮮だ。
「すごい荷物だな。どこに運べばいい?」
「あ、とりあえず部屋の中に………机のあたりにでも置いといて下さい」
元親にそうお願いすると、分かった、と短く言って大量の服を軽々と持ち上げた。
(――――えっ、あっ、なんか、圧倒的な力の差を見せつけられたんですが)
呆然としてしまった私は、その大量の服を運んだせいでまだ腕が痛いのだが。
さらにその上元親はトドメ、と言わんばかりに
「見た目より軽いな」
とか言い出した。
(じ、自分が情けないなんて思ってないんだからね…………ッ!)
と、ツンデレ風に悔やんでおいて、もう一度車に戻った。
清正や兼続が、「他に荷物はないのか」とか言って催促してきたからだ。いつの間にか玄関に全員大集合していて、早く荷物を寄越せ、といった感じになっている。何なんだ。
急かされた私は車から食材と食器類、サンダルを下ろす。食材が重くて、こんな事なら誰か一人外に連れ出せばよかった、と後悔した。
せっかくサンダルも買ったんだし、もう夜なんだから周りに人もいないし。
しかしこれらを運んでしまえば後はタオルケットと毛布だけなので、なんとかなるだろうと思いながら玄関を開けると全員が待ち構えていました。何なんだこの威圧感は。
「これは食べ物と食器なので乱暴に扱わないようにお願いします」
とだけ告げて持って入ってもらう。
そしてその後、タオルケットと毛布も運び込んで、どうにか一旦落ち着いた。
「これが現代の服です。着方は後で説明するので、とりあえずこの小さな紙を取っておいてください」
袋から服を取り出して、珍しいそうに眺めている彼らにハサミを渡して値札を取るよう促し、私は食材を台所に移動させて晩ご飯の支度にかかる。
「おお、着物があるぞ」
不意にリビングから兼続の声がした。浴衣を発見して目を輝かせている。
「まぁ一応着物……なんですかね、とりあえず少しくらい慣れた物があったほうがいいだろうと思って」
着物とはまた違うのだが、喜んでくれたので良しとする。
「未来の世界にもこのような物があるのだな」
三成が感心しながらそう言ったのが、ふと耳に届いた。
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