Undaily!
□第6話
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「上半身裸で出てこいとは言ってないはずですけど!?」
部屋中に私の叫び声が響いた。
お隣さんに聞こえてたら完全なる近所迷惑だな、と気付いたのは叫び終わってからだ。
そう、何を思ったか、6人は上半身裸で和室から出てきていたのだ。
「しかしどうせこの後上着を着るのだろう?」
元親が、ごく当たり前といった感じで言う。
あぁー………絶対元親だ。元親に決まってる。上着を着るんだから裸でもいいんじゃね?とか言い出したんだきっと、元親が。
そしてまた私の反応を楽しむつもりなんだ。勘弁してほしい。
元親はともかく、清正とか三成とか………なぜ君達も裸になっちゃってるんだ!裸になるのちょっとは躊躇いなさいよ!!
とツっこんだ。
幸村はちょっと恥ずかしそうにしている。そのせいで私まで恥ずかしくなってしまう。
「じゃあ早く上を着てください!現代の上着はこういう形で、これはTシャツって言うんですが………とにかく頭から被ってここから頭、こっちから腕を出してください!!」
なかばなげやりに説明して、Tシャツを押しつけた。
にしても全員、良い身体すぎて直視できなかった。
所々傷があったりして痛々しいが、現代人とは筋肉のつき方からして違う気がする。
「あ、首の所に小さな布がくっついてるほうが後ろですからね!」
吐き捨てるように前後の説明をして私は6人に背を向け、バクバクとうるさい心臓のまま魚の様子を見る。もう少し焼かなければならない。
「これでいいのか?」
とりあえず落ち着け自分、と思いながら深呼吸をしていると、元親の声が聞こえた。
また何か妙な事をやらかしているかもしれない、と眉をひそめ、次は赤面しないように、と覚悟を決めてゆっくりと振り返った。
「……………………わぉ」
振り返った先では何も起こっていなかった。
ただ、6人全員、ものすごく似合っているものだから思わず奇声を発してしまった。ついでに、顔がにやけてしまった。
「葵?何か違っているのか?」
何なんだこの男前すぎる軍団は!と思いながら6人それぞれの全身を眺めていると、不意に兼続がそう言った。
「え?あぁ、うん、大丈夫。合ってます」
ぼーっとしてしまい、少しの間喋らなかった私は慌てていつもの調子を取り戻した。
「みんな似合ってますよ!充分、この世界に溶け込んでます」
まぁ、元親の刺青や清正の銀髪っぷりは現代でも珍しいとはいえ、無地のTシャツとジャージ・スウェットをここまで着こなせる人達は滅多にいないだろう。
この6人はいろいろと整いすぎているから当たり前なのか。
「……現代の着物は軽いのだな」
「落ち着きませんね」
三成の後に、幸村が呟いた。
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