Undaily!
□第12話
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「よし。じゃ、兼続も髪乾かそっか。ここ座って」
気合いを入れてから兼続を呼ぶ。
「む?これ以上どうやって乾かすのだ」
「あぁ、そっか兼続は知らないんだよね」
兼続がお風呂に入ってる間だったから、と軽く説明してからスイッチを入れる。
「おぉ!何だ、生ぬるい風が!」
「生ぬるいとか言わないの!せめて温かいって言ってよ!」
兼続の表現に思わずツッコんでしまった。生ぬるいって、何だか嫌な表現じゃないか。
「うッわ、兼続の髪つやつや!超つやつや!さらさら!!」
少し乾いてきた所で、兼続のキューティクルの凄さを実感した。
三成とは違ったタイプのさらさら感だ。
「そ、そうなのか」
「うん!すッごい綺麗な髪!」
コンディショナーつけなくても美髪なんだろうな、なんて思いながら乾かす。
……そういや兼続ってポニーテールだったな。何だか印象が違うと思ったのは髪を下ろしてるからか。
「む……これはなかなか…」
「気持ち良いでしょ?」
慣れてきたのか、兼続も途中から眠そうになってきた。
「…………そのカラクリには、何か不思議な力があるのだな……」
少し覇気がなくなった口調でそんな事を言う兼続の首がカクン、と揺れた。相当眠いのかな。
「確かに、ある意味不思議な力だよね」
眠いながらも起きていようとする兼続の様子を見て、くすくすと笑いながら乾かしていると、あっという間にさらさらの髪が完成。
「もうこれくらいでいいかな。はい兼続、終わったよ」
相変わらず眠そうな兼続の肩を叩くと、小さな声で頷いてからリビングの机に戻った。
その後はテレビを見ていたが、そうだ、辞書を渡しておこうと思って和室に置いてある細長い本棚から国語辞典を取ってきて皆に渡しておいた。
「はいこれ。暇な時にでも見てね。色んな言葉の意味が載ってるから、外来語でも日常的に使うものならこれを見ればすぐ分かるよ」
とりあえず電子レンジやペットボトルについては辞書で調べてほしい。
和室の本棚には他にも英和辞典や漢和辞典、小説もいくつかあって、さらには仕事を始める前に買ったビジネスマナーの本なんかも詰め込んである。
勝手に読んでもらって良いのだが、英和辞典なんかは読めないよね。
「五十音順に色んな言葉が載ってるから、意味を知りたい言葉を探してね」
「これは便利な物ですね」
幸村を始め、皆興味を示してくれた。5人で覗き込んでるから頭がぶつかりそうになっている。
そういや皆は五十音順じゃなく、いろは順の方が慣れてるのかな?と思ったが、無視。どうしようもない。
とりあえず国語辞典があればどうにかなりそうな予感。
早くいろいろな言葉を覚えてほしい。
「和室の本棚には他にもいろんな本があるから、気になったら勝手に読んでね」
熱心に辞書を覗き込む5人に言ったが、いまいち聞いていない気がする。まぁ仕方ないか、と思って私はしばらくテレビを見ていた。
すると、脱衣所の扉が開く音がした。
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