Undaily!
□第17話
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結局皆、パンもハムもサラダもスープも目玉焼きも、全部残さず食べてくれた。気を遣ってなのか、誰も不味いとは言わなかったのが多少心配だが、やはり全て食べてもらえると嬉しいものだ。
「じゃ、私は食器を洗ってるから皆は休んでてー」
テレビを見たり、新聞を読んだりしている皆とは別に、私は食器の片付けを始めた。人数が多いとお皿にあまり余裕がないので早く洗って乾かしておかないと。
「〜〜♪〜〜〜〜♪♪」
「葵」
呑気に鼻歌を歌いながらお皿を洗っていると、隣にやって来た人に不意に名前を呼ばれた。
「手伝おう」
「え?」
隣に来てそう言ったのは、元親だった。
「皿を洗っているのだろう?手伝わせてくれ」
「でも…」
「この先、後片付けも食事も、お前一人に任せるわけにはいかないだろう。やり方を教えてくれれば俺達にもできる」
確かにこれから先、ずっと私一人で食事を作ったりお皿を洗ったりするのはキツいだろう。いつかは手伝ってもらおうと思っていたが、今の段階ではまだ早い……気がする。
「今はまだいいよ。それに……」
大名に皿洗いという雑用をさせるのはどうだろうか?と思って、苦笑いをしてしまった。
しかし口には出さない。身分やそういう類の事は関係ないと昨日言われたんだった。
「早く覚えたほうがいいだろう?それならお前の負担も軽くなるしな」
「元親………」
柔らかい笑みを浮かべて、私の頭をゆるく撫でながら元親はそう言ってくれた。
優しい口調、笑顔であったが、瞳は至って真剣で、何故だか言い返せない表情だった。きっと何を言っても引かないんだろうな、というのがすぐに分かる。
「ありがとう。じゃあ、お言葉に甘えて、これからは手伝ってもらおうかな」
「あぁ、任せろ」
やっぱり、何だかんだで元親も優しい。
嬉しくなって、私は上機嫌で食器用洗剤やスポンジについて説明した。
「葵!食事を作る時はわしが手伝うぞ!」
元親と一緒にお皿を洗っていると、後ろから政宗の声がした。
「政宗…」
「この世界の食べ物は面白そうじゃからな。この『こんろ』というカラクリも使ってみたいしな!」
リビングから移動してきたた政宗は私の隣にきてコンロをまじまじと見ながら、楽しそうに言う。
そういや政宗って、史実でも料理好きだと聞いた事がある。
「料理好きなの?政宗」
「まぁ、な」
少し得意気に話す政宗は今までの中で一番楽しそうで、私もそのキラキラした笑顔につられてしまう。
「じゃあ、お昼前になったらご飯一緒に作ろっか!」
「うむ!」
力強く政宗と頷き合って、さてお昼ご飯は何を作ろうかと考える。
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