Undaily!
□第17話
2ページ/3ページ
「葵」
「ん?何?元親」
フライパンや圧力鍋について政宗と話していると、洗い物をしていた元親が不意に私を呼んだので、元親のほうを見る。
元親と政宗がそれぞれ隣に立ってこの状況はまさしく両手に花……とか考えてしまった。
「全部洗ったが……これでいいか?」
元親の言葉に促されてシンクを見ると、何一つ残さず洗い終えているではないか。
しかもシンクまでピカピカになっている。
「はやッ!」
思わず前のめりになってしまった。洗い終えた食器達はきちんと乾燥機の中に入れてあるし……適応力の早さに感心するどころか、驚愕するばかりだ。
「元親、慣れるの早いよ……いつの間に………」
「お前が呑気に政宗と話している間にな」
「の、呑気って何さー!」
スポンジに残った泡を落としながら、元親は茶化すように笑ってそう言った。
「料理や片付けはもちろん、他にも俺達に出来る事があるだろう?一人で抱えようとするなよ」
あまりの手際の良さに口が半開きになったままの私に、元親がそう声をかけてくれた。
「俺達も料理や片付けの方法を知りたい。全員出来るようになっておいた方がいいだろ」
元親の言葉に返事をする前に、清正がそう言いながらキッチンに来た。
「料理はわしがする!貴様らは皿洗いや雑用をやっておればよいわ!」
「しかし、政宗殿だけで毎回料理を作るというのも大変ですから」
なんか政宗がものすごい発言をした、と思ったらすぐに幸村が止めに入ってくれた。
というか政宗は料理のやり方を覚えた後は毎回一人で作るつもりだったのか……?
「政宗、一人で料理担当するのは大変すぎるよ。皆にも覚えてもらって、一緒に作るのが一番いいと思うよ」
「しかし………!」
「政宗はほんとに料理好きなんだね。でも、大変だって分かってるのにやらせるのも……ね」
「……………」
少し眉をしかめて言うと、政宗はおとなしくなった。
「ふ、政宗も葵の前では頭が上がらんな」
「うるさいわ兼続!」
兼続にからかわれて声を荒げたが、政宗の頬は少しだけ赤い気がした。やはり可愛い………。
「じゃが、今日の昼食はわしと葵だけで作るぞ!」
「はいはい。仕方ないなぁ」
「し、仕方ないとは何じゃ!」
きっと、皆より先に料理の方法を知りたいんだろうな。
そういうちょっと子供っぽい所が政宗らしくて、思わず笑ってしまった。
「………ガキはこれだから困る」
「何じゃと!?」
そんな政宗を見て腕組みをした三成がぼそりと呟いた。そして案の定政宗が噛み付いて、三成に向かっていこうとした。
.