Undaily!
□第21話
2ページ/4ページ
「とりあえず早く乗って!全員乗っても壊れたりしないから!」
エスカレーターの前でこんなやり取りをする日が来るなんて……誰が予想できただろう。
周りの人が不審な目で見ている気がする。だが気にしない。
「ほら、政宗!」
「お、押すでない!!」
背中をぐいぐい押すが、政宗は乗ろうとしない。
早くしないと迷惑になっちゃうし、困ったものだ………。
「これに乗ればいいんだろう?」
「うん!………え、元親?」
相変わらず政宗の背中を押しつつ押し返されつつ、グダグダしているとその横から元親が平気な顔をして普通にエスカレーターに乗った。
「………………」
元親があまりにも普通にエスカレーターに乗ったからポカーンとしてしまった。
政宗と清正は何事もないのかと、元親を凝視。
「ほら!!政宗も乗って!!」
しかしここがチャンス。体の力が抜けた政宗の背中を強く押した。
「おわッ!?」
バランスを崩して前のめりになりながらも、政宗はどうにかエスカレーターに着地。無事乗る事ができた。
「清正も、早く乗るよ!」
残すは清正のみ。
私は強引に清正の手を握って、先にエスカレーターに乗った。
「なっ……!待っ…!」
戸惑っていたが、私が繋いだ手を引っ張ると少しバランスを崩しながらも、どうにかエスカレーターに乗る事ができた。
「ほら、全然怖くないでしょ?」
「しかし……妙な感覚じゃ………」
「それは慣れてもらうしかないねー」
ちなみに元親はもう2階に到着していて、エスカレーターから降りるのもバッチリのようだ。
「政宗、降りる時も気をつけてよ」
「う………うむ」
政宗の声は完全にひきつっている。とりあえずコケないでくれたらそれでいい。
「…………っ!!」
政宗は一瞬息を吸い込むと、そのまま呼吸を止め、ぎこちなくエスカレーターから降りた。
かなりぎこちない動きだったけどとりあえず結果オーライだ。
「清正も、躓かないように気をつけてね」
政宗に続いて私も降りて、清正を見守る。
「あ、あぁ………!」
手すりを強く掴みつつ、清正もぎこちない動きで少しバランスを崩しながらもどうにかエスカレーターから降りた。
とりあえず無事に2階に到着できてよかった。
私は一安心しつつ歩き出した。
.