□怯えるだけ。
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気づかないようにと。
わたしは何も気づいてなどいない。
―そうずっと、心に言い聞かせてた。
気づかないふりをしていた。



















多分、彼と同じくらいあたしも驚いていると思う。








彼だと認識した時には、もう視界なんて見えてなかった。
あたしは彼をその手で掴んで放さなかった。









自分の行動が分からない。








気づいた時には既に、
彼に、縋り付いて泣いていた。



慰められたり、

優しい言葉をかけられたり、

頭を撫でられたり、


されるわけでもなければ、
そんなことすら求めてなどいないというのに。










そこいたのは、
酷く安堵している自分だった。











落ち着きを手に入れることが、
安心に気づいてしまうことが、













こんなにも恐ろしいことだと知るのは、
後にも先にも、
きっと、
これっきり。










恐ろしくて、恐ろしくて、
あたしはひたすら怯えるだけ。













+ + + + + + + +


まさに、赦されない『 』です。

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