● N o v e L ●
□キミの左手、ボクの右手。
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初めて女に触れた。
触れたいと思ったのか
それは、自分でも解らない。
只、
気付いた時には触れていた。
特になにもせず、
二人はただ、動かず、見つめ合っているだけ。
ほんの一瞬の出来事が、
まるで永遠であるかのように、
数秒という時間が
長い長い時を刻んでいた。
「えへへ。」
初めはただ、呆然としているだけだった女が、やんわりと俺の手を握り返して来た時、伝わる確かな温もり。
知らない“ナニカ”を知った。
微笑みかけて来た女の表情も、温もりも、感触も、、全部、
俺から離れようとない。
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