ビヨリ短編集
□バンパイアパワー+
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昨日、オレの新作同人誌『夢子とオレ2』が完成した。
前作は絵が下手すぎるだの何だのと小松にボロクソ批評されたが、今回のはそれと比べものにならない程の力作だ。
という訳で小松にまた見てもらおうと家に来たのだが…。
ドンドン
「おーい小松。小松!」
さっきから何度もドアを叩いているのに全く反応がない。
外出中なのかと思ったが鍵は開いている。
…寝てるのだろうか?
「入るぞ」
中は閉め切ったカーテンで光が遮られ、真昼だというのに重々しい闇が広がっていた。
部屋の明かり代わりとなっているテレビから発せられる青白い光が不気味さを増しているようだった。
そんな部屋の真ん中で一人の男が膝を抱え座り込み、ぼんやりとテレビを眺めていた。
酷くやつれて虚ろな目はテレビを見ているようで何も見ていないようにも見える。
「小松…なのか?」
疑心暗鬼で弱々しく問うと、男はオレの方を見て口角だけを上げてニヤリと笑った。
「やあ。久しぶりだね」