短編集
□手と手と鎖
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父に殴られた
母に蹴られた
出ていけと言われ、家を追い出された。
夜の街を私は歩く。
たくさんの男が私に声をかけてきた。
私はそれを全て振り切った。
でも、今更になって後悔している。
寒さに耐えられなくなってきてしまったのだ。
誰でもいいから、着いて行けばよかった…。
今は夜中の三時。
こんな田舎の街、もう人なんて歩いていない。
寒い寒い寒い寒い。
ベンチでなるべく暖かくなるように身を固まらせる。
寝たいのに、寒くて寝れない。
…どうすればいいんだろう…。
…と半泣きになっていると私の頭に何かが触れた。
ビックリし過ぎて跳ね上がると、ふふふ。と落ち着いた笑い声が聞こえた。
私の横に、男の人が座っている。
「おいで。」