ビヨリ短編集
□ポピー
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「…あっ、いたいた、妹子ー!」
「…っ?!」
不意に聞き慣れた声がして僕は耳を疑った。
あんなアホオッサンを想いすぎてついに幻聴まできてしまったか。
…だけど、振り返るとそこには確かに太子の姿があった。
僕の知ってる、あのいつものジャージ姿で。
「空なんか見て、何たそがれてるんだよ。気持ち悪いぞっ」
「…たっ、太子…?! 仕事はっ?」
「仕事はもう終わったよ」
「終わった…って」
「1ヶ月間 頑張ってニョキニョキ…いやバリバリ仕事をこなしたから、これでもう半年は真面目に仕事しないでいいんだ!」
太子は妙なブイサインをゴワッと作ってとても嬉しそうに笑う。
「な…っ、お前は夏休みの宿題を夏休み終了前日に一気に片付ける小学生かっ!」