短編集
□手と手と鎖
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そう言って男の人は私を引き連れ、黒い車に乗せた。
人さらい?変質者?殺人鬼?
…いや、もう何でもいいか。
だって車の中 あったかいんだもの。
ブーン。
車はしばらく走ってお高そうなマンションに入った。
私はまた手を引かれ、男の人の家であろう『103号室』に上がり込まされた。
部屋はシンプルに片付いていた。
家具が白黒で統一されている。
モダンアート? そんな言葉が意味もなく浮かんだ。
そう、ぼけっとしていると彼が私をソファーに座らせ、コンビニのおにぎりを二個とお茶を渡してくれた。
これ本当はこの人の晩御飯だよね。いいのかな…
と思ったけど、ニコニコ微笑みながら私の頭を撫でてくるので これは遠慮はいらないな。と 全て美味しく頂いた。