薔薇火刑

□屍
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仄 暗き闇に 光はなく

愛 まみえることもない







私が アリスだった頃

まだ何も知らないあの頃

人形のように甘やかされ

花園にいる私の過去

仔犬たちに囲まれて

光を浴びていた





私が 白雪姫だった頃

まだ何も分からない少女の頃

お花のように愛されて

花園にいた私の躰

蝶たちと踊って

光と遊んでいた







この 躰 本当は偽りで

愛されることはない






私が眠り姫だった頃

ずっと眠っていたあの頃

マリオネットのように踊らされ

檻の中にいる私の躰

亡者たちに喰われて

血に溺れていった



私が人魚姫だった頃

まだ海の中にいたあの頃

罪人のように扱われ

塔の中にいる私の躰

呪いにかけられて

血と戯れていた




今 全てが虚像で

動くことはない

この 躰は 屍で

愛されることはない



何が 本物で

何が 偽りか




それは もう分からない




私は屍

貴方は 生者




血まみれの

深淵に立つ私は

死を纏い


騙し続ける




いつまで続く?


永久遊戯の屍

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