薔薇火刑

□孤高ノ死
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紅い月が輝く
僕の躰は返り血で染まる



支配しよう
君たちの心を、躰を
僕に服従すればいい

勝利を掴む
永遠の栄光を手に入れた僕

立つのは
戦士の屍の頂点
深い深い闇の頂点に
いま僕は君臨する

鮮血で
服を染め
僕は嘲笑う

人はこんなに醜いと
その、汚い感情や殺意
人はこんなに素直だ
さあ、僕を崇めよ





残酷でいい
僕の思考、魂
僕は泣かないから

夜が怖い
出口の無い悪夢に魘される

立つのは
憎悪と、哀憐の檻の中
暗い暗い世界の中に
いま僕は溺れていく

臓をつく
剣士の貌が
僕を嘲笑う

僕はこんなに愚かだと
全て、無駄な偽りや見栄
僕はこんなに空虚だ
ねえ、誰かそばにいて



静かな湖水へ
僕の躰は沈んでいく

誰かに殺されるくらいなら
僕は自ら死のう

脳裏に浮かぶのは
栄光と戦士の屍

あゝ
なんてこの世は滑稽なんだ

紅い月が
僕を哀れんでいる





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