読み物 創作
□夢日記
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咲き乱れている桜。
とても綺麗かつ美しく咲いていて、つい見とれてしまった。
凛と立っていて厳かに見えるのに淡く儚くも見える。
触りたくては伸ばした手は空を切るばかりである。
突然風が吹き花びらが散っていく。
「馬鹿みたい…」
そう呟いた言葉は風とともに何処かへ行ってしまった。
『名無しさん』
そう呼んでくれる人は誰もいない。
白を基調とした私の服は汚れ、穴があいたり擦り切れている。
見渡せば
一本桜と私の周りにはバラバラに倒れている骸たち。
優しくしてくれた人も好敵手も
仲間も家族もみんな
笑ってくれない、返事を返してくれない骸。
どうして…
おいおい‥なんで俺が"ソル姫"を探しにこんな荒れ果てた場所に来るんだよ。
こんなところにいないだろよ。
ぶつくさいいながら
グレフェルは荒れ果てたログーン国に来ていた。
剣を片手に最低限の食料とお金などが入った袋をしょって道を歩く。
あちこちに人が倒れていて、鳥などに啄まれていたり白骨化したものもある。
「あれ…?」
視界に入った死体を見て全てに共通していることがあった。
「全員北側を向いている…」
何かに導かれていたのか縋るためなのか
それは定かではないが、憶測なら助けを求めていたのだろう。
とりあえず、この国の人々が向かおうとしていたこの先には確か地図を見た限り、大樹の桜があったはず―――――…
迷わずグレフェルは進むことにした。
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