短編 黒子おおぉ!

□緑黒
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そこには幸せそうに肩をならべ二人が笑顔で笑いあっていた。
微笑んでいる黒子に、少し頬を緩めるだけの緑間。
其処には確かな幸せがあって、確かに想いあう二人が写しだされていて。
ぎゅ、と握られている二人の手が目にはいる。
何でだか、凄く気持ち悪くなって。
ぐえ、と胃液が逆流してくる感覚。
体がソレを受けつけていないと言うべきか。
なんとも微笑ましい筈の光景が何もない筈の光景が何故か実に滑稽で愉快で汚く醜く嫌悪させざるを得ないのだ。
見ない、見たくないよと。
拒絶しているみたいだ。あのひとを。
そしてこの嫌悪の裏側にどこか喜んでいる自分がいる。
何故?
これは何?
あ、そうだ。
これは夢。
これは夢でこの内容は自分の願望が写しだされていて。
気持ちが悪いのはこんなの現実でありえないから。
そして、こんな感情が自分の中に有るという現実を受け止めとくないから。
気づきたくはないから。
なかったから。
願望が形になりなぜ心からよろこべないか。
夢、そう。これは夢。
夢は願望。
これは自分が望んでいること。
気持ちが悪いのはきっとこんなの現実では有得ないから。
今まで何回も夢をみてきたけど、こんなに虚しくなる気持ち悪い夢は初めてだ。
だけど優しく頬を緩める夢の中の彼が愛しくて愛しくて。
やっぱり夢に縋る事しかできなかった。
好き、です。
僕がそういえば彼は僕の頭を優しく撫でるのに、
























目を開いた処で彼はいないのだ。

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