短編 黒子おおぉ!

□赤緑
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例えば世界が有ったとして。
僕達がその世界で生きていたとして。
もし僕達がその世界で死んだとして。
僕達は死ぬと世界からいなくなるとして。
生きるという定義が息をし続けると仮定したとして。
生きるという事は心臓が動いている事と仮定したとして。
そしたら、死んだら生きるにならなくて。

僕が死んだと想像しようか。
死んだら世界からいなくなるのに、
肉体は世界に残っている。
なくなるていうのを、固体じゃなくならせると定義したとして、
これはなくなると固定できなくなるわけだ。

感情の損失。
もしかしたらそうかもしれない。
でも、そんなのわかりはしないだろう?
死んだ所でなくなりはしない。
口が眉が鼻が耳が舌が眼球が瞼が顎が関節が脳みそが神経が思考が指が足が手が感情が記憶が止まっていたとしても、
それでも肉体がここに有るということは
いなくなってはいない。
肉体を手にいれればその人はきっと自分のものになるのだろう






「でも、相手はどうなのでしょうか。」
「………つまり?」
「死んだ後の肉体の所有権が自分に渡ったと想定しましょう。
しかし、相手はそれを承認してはいませんよね。
自分で自分のモノと思っているだけでしょう。
あなたの定義でいくと
それは窃盗罪になります。」
「何を言っているのですか?
僕はモノなんて言ってませんよ。
相手は人ですよ。窃盗も何もありません。
肉体よりも心を奪う、恋のほうがよっぽど罪でしょう。」
クスクスと笑えば顔を赤くし睨まれる。
本当にからかいがいがある。
しかしワンパターンな反応もそろそろ飽きが来た。
こんな子供も分かる事が分からばないような無能凡人に興味は無い。
もうそろそろネタばらしをしようか。
にっこり微笑み、ポケットに手をいれる
「しか死ね、君。どう死て僕がこのはな死を死たかわかるかい?」
「……?何故か?」
「うん。」
「えっと……んー…」
そういいながら考え始めるその様は滑稽そのものだった。
ああもう本当につまらないなぁ。
君もその程度なんだね。
くすくすくすくすくすくすくす。
ああ、こいつも面白いモノ、見せてくれはしなかった。
最後にチャンスあげたのに、ね?
「わかりましたよ!理由は_____________ 」



ぐじゅり、
ぐじゅ、じゅぷぶしじゅくじくぐちゃ。
ぽたぽたぐじょ。ごりっ。
ぶし。ぐしゃぐじょべりべり、ボリ。
くちゃぐぢゃごに、ぐちゃ。

ぶしゃ。



「………あーあ。汚い。」

赤く染まってしまった自分の手を見つめ、
呟く。
さっきだったら、自業自得ですー。とか返ってきたのかもしれない。
まぁ、どうでもいいけどね?

人の形をしていた半個体を尻目に見、
僕はお手洗いにいった。
生臭いこの臭いは本当に苦手だ。


みずを出し手を洗う。
鋏はもう既に赤い。意味は無いと分かっていても
洗う僕は綺麗好き。
……自称。

綺麗好き、か。
あいつも、そうだった。
極度の綺麗好き。おは朝をかかさず見る占い信者。
最も俺に近く、一番遠い、

「緑間、お前ならおしえてくれるかな。」

恋人<ひと>



















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