dream
□最大の愛を込めて
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「ほら、やるよ」
「なぁに、これ?どうしたの?」
私の目の前には、可愛らしい花束。
いつもプレゼントなんかしない十四郎から差し出されたもの。
「何かやましいことでもしたの?」
余りの似合わぬ行動に胸の奥がくすぐったくて思わずくすくす笑ってしまう。
「違えよ、ほらこんくらい素直に受け取れ」
「だって、貰う理由がないもの」
私がいたずらに返せば、滅多に見られない真っ赤になった十四郎の姿が。
「なんだ、そのこれはアレだ。」
「だから、なぁに?」
「…〜っ、いつも、ありがと、な」
何にも換えがたい言葉と共に差し出された花束。
その姿にこちらまで気恥ずかしくなり、つい意地悪をしてしまう。
「十四郎がこんなことするなんて天変地異の前触れかしら?」
「うるせぇよ」
「ふふっ、嘘だよ。ありがとう十四郎」
私からも最大の愛を込めて。
「大好きだよ」
その時のびっくりしたような真っ赤な顔が可愛くて、思わず笑みがこぼれる
そして、ボソッと私にくれた一言。
「…俺もだ」
(あなたと居られればそれだけで)(その一言がどんなプレゼントよりも)(私にとっては幸せです)
End.