dream

□二人でかき氷でも買いに行こう
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かんかんと日差しが照り付ける昼下がり

私は、十四郎の部屋で副長の助手として書類整理をしていた
…が、遅々として進まない

理由は、簡単だ。
暑い。今日は、溶けてしまうかと思う程の最高気温でとにかく暑いのだ。


「…暑い」

「そうだな」

一言、ポソッと呟けば十四郎が顔も上げずに相槌をうった

しかし、相槌をうつ十四郎の顔は爽やかで全然暑そうではない

「暑いよ、十四郎」

「あぁ、知ってるよ」

十四郎の汗の一つもかいていない爽やかな顔に段々と苛々してくる

「あーつーいー」

「あぁもう、うるせーな!暑いのは知ってるよ、夏だから暑いのは当然だろう!?」

この理不尽な苛々に正論で返されても苛々が増すばかりだ
八つ当たりの一つもしたくなる

「十四郎、うるさい。十四郎が喋ったせいで二酸化炭素が増えて余計に暑くなる」

「っ、お前な…!!」

「大体、十四郎だけ涼しげな顔してずるい!」

「はぁ?」

「私は暑いのだ!」

十四郎は、面倒になったのかチッと舌打ちをし、また書類と睨めっこを始めた
そんな彼の顔を見ていたらいいことを思いついた

「ねぇ、十四郎?」

「なん…っ」

怪訝そうに私に振り返る
触れるか触れないかの一瞬

私は、チュと口づけを落とした

さっきの涼しげな顔はどこへやら、見る見る顔が赤くなる

「ぷっ、十四郎顔が真っ赤だよ?」

「うるせーな、暑いからだよ」

「そっかー、夏だししょうがないよね」

「あぁ」

真っ赤な顔を手で隠すように口元を抑える
私は、その様子がたまらなく楽しくて暑さなんて吹き飛んでしまう

「しょうがねぇ、せっかくだから休憩でもするか?」

そんな彼から待ち望んだ言葉が贈られた。

《二人でかき氷でも買いに行こう》


(仕事なんて放り出して)(十四郎の頭が私でいっぱいになればいいのに)


End.



 

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