Mi trovi.
□生まれた差は縮んだはず…なのに。
1ページ/1ページ
「王家に産まれる双子は災いをもたらす」
なんて言われて、ジルとオレは常に揉め事の中
心だった。
それは名付けの時からそうだったようで、兄貴のジルにはラジエルという天使の名が、弟のオレにはベルフェゴールという悪魔の名が付けられた。
決して、自分の名前に不満があるわけではない。
しかし、産まれてきたほんの数分の差だけで、こんなにも境遇が変わってしまうものなのか、と、オレはそれに腹が立っていた。
何でもオレの少し前を行く、ジル。
最初は何でもない差が段々と開いていく気がして、焦りが生まれる。
そして、また失敗。
悪循環。負の連鎖。
その連鎖を断ち切りたくて、オレは何度もジルに勝負を挑んだ。
勉強、かけっこ、武術。
負けてももう一回。何度も何度も。毎日、毎日。
そこはやっぱり双子で、王子で。どちらも負けを認めない。
何度も何度も勝負。それは、段々と、殺し合いに発展していった。
「「こいつがいなければ、自分が正当王子」」
勝てないなりにも、ジルとの差は縮まった。
どっちが正当王子でも、おかしくなかった。
なのに。
「ジルは長男なのだから、もっと頑張るんですよ」
「期待しているぞ。ジルはいずれ国王になるんだからな」
「はい。父様、母様」
ジルだけが呼ばれた部屋の前で、オレは聞いてしまった。
正当王子は、ジルらしい。
.