Mi trovi.

□宣戦布告。
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あれからも、オレはジルに勝負を挑み続けた。

ジルに勝ち続けていれば、父様と母様も考え直してくれると、そう思ったからだ。





そんなある日、城に一人の少女がやってきた。


「ジル、ベル、紹介しよう。彼女はアリス。正当王子の許婚に選ばれたんだ」



父様は「ジルの許婚」とは言わなかった。
オレが知らないとでも思っているのだろうか。そんなはずないのに。

ジルは得意げな顔でこっちを見てくる。ムカつく。死ね、クソ兄貴。



アリスと呼ばれたその少女は、綺麗な金髪に、澄んだ青い目をしていた。素直に、可愛い。

オレは彼女に一目惚れした。



「ジル様、ベル様、初めまして。どうぞよろしく」


そう言って軽くお辞儀したアリス。
オレはどうしてもアリスを手に入れたくなった。







しばらくアリスとジルと三人で過ごすうち、ますますアリスに惹かれていった。


ふいに見せる照れた表情。
オレたちがケンカをした時の怒った顔。
何より、花が開くように笑う、笑顔。




アリスは、オレたち双子を見分けられた。
王宮の人間でさえ困難なことを、ほんの数日一緒に過ごしただけでできるようになった。



「アリス、オレのお嫁さんになるんだよな?」
「正当王子のお嫁さんですわ、ジル様」
「ならオレだぜ、アリス。なにしろオレは、父様と母様に認められたんだからな。ししっ」
「まだ分かりませんわよ?油断してるとベル様に抜かされますよ」
「んなわけねーって」



アリスとジルが喋ってる間、オレは離れていることにした。ジルの自慢話はムカつく。イラつく。


「ベル様。ベル様もこっちで一緒にお話しましょう?」
「嫌だ」
「何故です?」
「ジルと喋ってるアリスと喋るのが嫌だから」
「なーんだよベル。ヤキモチかぁ?ししっ」
「うっせーよジル」
「んなことしても、無駄。だってオレが次期国王なんだから。アリスはオレのもの♪」
「ジル様!私は物じゃありませんわ!」

「…ジルにアリスは渡さない」

「あ゙ぁ?」



「宣戦布告だっつーの!クソ兄貴ッ」



「ベル様まで…」







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