Mi trovi.

□再会。
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「アリスですよ?」
「へ?」
「ん!」



唐突な「アリスですよ?」に、なんともマヌケな声が出た。女が前に突き出してきたのは、さっき散々値切ったアリスグッズ…人形だった。



「いや…は?」
「え?おにーさんもアリス好きなんじゃないんですか?」
「いや…べつに…」
「なーんだ」



そう言って、オレの隣を通り過ぎる…女。



「なぁ!」
「…なんですか?」


…なんでちょっと不機嫌なんだよ。


「お前…名前は?」
「…そういうもんは、自分から名乗るもんだと思うんですよ」
「…ベルフェゴール、だけど」
「ベルフェゴールさん?…え?外人さん!?」
「そーだけど」
「へー…。日本語上手いから日本人かと思った。…私は、西山梨華」
「何歳?」
「それ、レディに聞く質問じゃないよね」
「20歳前後だろ?」
「まだ19だっ」
「ふーん。オレ26」
「あっそっ」


そう言って女……梨華はスタスタと歩きだした。



「なんでついてくるんですか?」
「お前のことが気になるから。ししっ♪」
「その笑い方、不気味…つか、不愉快にさせますよ、人のこと」
「別に気にしてねーし」
「気にしよーよ…」



「あの…何処までついて来るつもりですか?」
「んー…梨華の家まで?」
「警察呼びますよ?」
「いーじゃん」
「なにがいいんですか。知らない人家に上げる19歳の少女が何処にいるんですか!」
「梨華がそうなるんじゃない?」
「てか、なんで名前呼び捨てなんですかっ」
「梨華ちゃん?」
「……やっぱ気持ち悪いからいいです…」
「ししっ♪」






しばらくして、アパートの一室の前で、梨華が
立ち止まった。

「……ここですよぉ…。お茶飲んだら帰ってくださいね?」
「サンキュ♪」
「襲ったら警察呼びますから…」
「襲わねーよ」




アリスにも手出してねーのにさ。まぁ…キスはしたけど。




「で…ベルフェゴールさんは…」
「ベル」
「え?」
「ベルでいいよ。さんもいらない」

「ベル……は、どこから来たんですか?」
「イタリア」
「イタリア人?」
「いや、違うけど。オレ王子だし」
「王子?」
「そ」

「王子様が脱走した…なんてニュース、知りませんけど」
「脱走したの…20年くらい前だしな」
「はぁ!?」
「ししっ♪なぁ、梨華」
「なんですか?」

「梨華は生まれ変わりとか、前世とか…信じる?」
「え…?」
「オレは…信じてなかったけど、今信じるようになった」
「……ベル?」
「梨華は、オレの婚約者の生まれ変わりだと思う」








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