Mi trovi.

□人形と面影。
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「ぷっ……あははははっ!」
「…なんだよ」
「そうやって女の人口説いてるんですかー?イタリアの男の人って口説き上手って聞いたことあるけど、これはないっしょ!!あははははっ!!」
「マジだからな?口説く、とかじゃねーし。だいたいオレ、イタリア人じゃねーから」
「じゃあなに人よ!」
「…いや、それは…国連とか色々荒れるから言えねーんだけど…」
「その王子設定に無理があるでしょ!!見たことないもん、こんなに前髪長い王子様!」
「…ッ…!触んな!!」
「おー怖い。ずいぶん短気な王子様だこと!」



……あっりー?なんか違う気がしてきた。
アリスはこんなに人のことからかわなかったし…もっと美人だし…そう、この人形みたいな…。……人形?



「なぁ…この人形…アリスって言ってたよな?」
「うん。不思議の国のアリスのグッズ。だからアリス」
「あー…」
「可愛いよね。私大好きなんだ」
「アリス……か……」
「………。ベルの婚約者って…アリスって言うの?」
「…え?」
「すごく愛おしそうにアリスって言ったから。なのに表情は悲しそう」
「うん…まぁ……」
「ふーん。私、昔から勘は鋭いんだよねー」
「へぇ…」
「ねぇ……。ベルの婚約者って…なんで死んじゃったの?」
「………。」



言えるわけねーじゃん…一般人に…。オレが殺した…なんて。



「言えない理由?」
「なんで?」
「……気になるから」
「は?」
「ベルのこととか、アリスさんのこととか、私が昔からアリス好きなこととか関係してるのかな、とか……色々気になることありすぎて…よく分かんないっ……って、私…何言ってんだろう…」
「梨華?」





その時一瞬、梨華にアリスの面影を感じた。照れた表情…だ。





「…とりあえず、アドレス交換しようよ」
「は?」
「口説きに乗るつもりはないけど、これで出会ったのもなにかの縁でしょ」
「うん…まぁ…。つーか口説きじゃねーから」



梨華とアドレスを交換して、その日は後にした。








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