novel

□この恋、キミ色。
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「人のイメージって凄いよね」

「…いきなりどうしたよ?」



零崎がぼくの呟きに少し驚いたように聞いてきた。



「いや、今日女子高生が話しているのを聞いてね」

「一体何を聞いてきたんだ?」

「色のイメージ」



そういって女子高生が言っていたことを思い出しながら零崎に言う。



「ほら、例えばさ、火って何色だと思う?」

「ん?赤じゃねえの?」

「大体の人のイメージはね。火でも赤とか青とか頑張れば緑にもできるよ」

「へえ」



おいおい、これは零崎も知ってるだろう。何感心したような反応してんだ。



「葉とかは緑、水は青色」

「確かにそんな感じだな」

「恋ならピンク、とかね」

「あー、此処で最初に戻るのか」

「そういうことだよ」



零崎はやっと話の流れが掴めたようで、うんうんと頷いている。



「別に色が決まってるわけでもないし捕らえ方も人それぞれな筈なのに、そういうのは大体の人が似たような色をあげるんだよ」

「かはは。確かに、そいつはすげえや」



その言い方だと本当にそう思っているように聞こえない…んだけど、どうやら本当にそう思っているらしい。



「じゃあさ、零崎は恋って何色だと思う」

「そりゃあ…ピンクとかそういうのじゃねえの?」

「やっぱりかー」

「かはは。じゃあいーたんは何なんだよ」

「ぼくには特にこの色っていうのはないかな」

「えー」



零崎はいかにも不満そうな声を上げた。



「だって、ぼくはピンクだとは思わないし。……まぁ、強いて言うなら」

「強いて言うなら?」



キミ色かな?



「何て戯言だね」

「いや、傑作だろ。…で、何色なんだ?」

「内緒」

「えー」










この恋、キミ色。

(だってキミしか見えないからね)

(恥ずかしいから、キミには言ってやんないけど)




 
 

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