弟と兄と先生
□相手の気持ちも大切です
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こんなことになる20分ほど前のことだ、意気込んで、俺は普段通り彼等の家のインターホンを鳴らした。
声だけの反応で、少し待っててと言われてから3分ほどで歌弥がドアを開けた。
「こんにちは、入って」
笑顔でそう言って、俺を迎え入れる。お邪魔します、と言って遠慮もなく、家の中へと入っていく。
いつものことだ。
靴を揃えながら脱いだとき、歌弥が「今日は早かったね」と言った。
早い、と言っても10分程度だ。
それに俺は、普段少し遅刻気味だから、これが普通といえる。
「迷惑だったか?」
歌弥の表情が少し普段と違うのを見て、俺は不安になり、そう聞いた。
「ううん、そんなことないよ。ただ、友達が来てたから、少し出るの遅くなっちゃって。ごめんね?」
普段の俺の行いが悪いと言えるのに、眉を下げながら謝るキレイな顔立ちが俺を見る。
「いや、俺の方こそ悪い」
遅れても、彼等が何も言わないことに、すっかり甘えていた。
以後、気を付けなければ。
「ここで少し待ってて」
階段をあがり、彼等の部屋の前につくと、ドアの前で歌弥にそう言われた。
まだ中に友達がいるらしい。
俺が了解を伝えると、歌弥は部屋の中に入っていった。
閉められた扉から声が聞こえる。
早く、という歌弥の声に、わかったと答える唖弥の声。それから
『えーあと少しだったのにー……ダメなの……?』
駄々をこねるような少し幼い声。
それを諭す歌弥の声が廊下まで優しく響く。
暫くして扉が開いた。
最初に出てきた唖弥が、「よお、先生」と声をかけて、俺はそれに答える。
唖弥の後ろをついて出てきた、小柄な少年と目が合い、挨拶として、俺は彼に微笑んだ。
彼はもとから赤くほてたような顔のまま、俺を睨んだ。
中で何をしていたのだろう。
ゲームとかかな……
歌弥が部屋で待ってて、と言って下へ降りていく。
二人とも友達を見送りにいくらしい。
俺は言われた通り中に入り、床に座りベッドによりかかりながら二人を待った。
そして、戻ってきた二人に聞いたのだ。
何して遊んでたの?と、
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