その他・復活1
□溺れる君は藁をも掴む
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「泣くんじゃねえ」
「・・・ザンザ、ス・・・」
「お前はオレの女だ」
「う・・・あァ!ん!」
卑猥な水音が止まない。
中途半端に脱がされた服の上からザンザスは私を抱き締めた。
悲鳴にも似た嬌声は全て彼の口内に吸い込まれ、合わさった口端から涎が流れる。
込み上げる嗚咽と、溢れる蜜。
角度を変える度に、酸素を求めて出来た隙間から掠れた喘ぎ声が漏れる。
掴み所のなかった手はいつの間にかザンザスに捕らえられていて、彼のシャツの袖をきつくきつく握り締めていた。
「日が暮れちゃったじゃない」
「知るかよ。泣いてよがってたのはどこのどいつだ」
「あれは・・・!」
かあっと顔面に血が上った。
ザンザスは散々好きなだけ私を抱いた後、事後処理をしてベッドに寝かせてくれた。
セックスの後、てきぱきとまるで仕事を片付けるかのように手際良く成されるその行為に、私は不機嫌な顔で冷水の入ったグラスに手を伸ばす。
ザンザスが私の隣で半身を起こしてベッドの柵にもたれるものだから、私の位置からでは外の景色が遮断されて見えた。
「ねえ、ザンザス」
「あァ?」
「夜はお風呂でしよ?」
「ククッ、淫乱」
「知ってるもん」
道に迷って溺れた私は、藁をも掴んだ。
今にも倒れてしまいそうなあなたを。
水面に映る月を見ることは出来なくなったけど、あなたが同じくらい一緒に溺れてくれたから別に構わない。
あなたはとても可哀想だから、溺れそうになって私を掴んだのだろうか。
私たちは今日も、深い水の底から空を見上げる。
溺れる君は藁をも掴む
(2008/1/14)