小さな青春
□*小さな青春*第2弾
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「あ、ここね!」
いつの間にか元気を取り戻した母さんが、一軒のファミレスを指差して言った。
見た目…どこにでもあるファミレス。
「さ、入りましょ」
春夏の入学祝いなのに、何故か一番テンションが高いのは母さん。
鼻歌唄いながら、一番乗りで店内に入っていく。
続いて春夏も入って行くが、更に後に続く俺の為にドアを押さえておいてくれる春夏の自然な優しさに、俺は感動した!
でも、目が合うと、余所を見てしまう春夏。
こ…これでいいんだ…!
兄離れの時なんだ…。
「いらっしゃいませ。
何名様ですか?」
「三名様です」
店内に入るとウェイターさんがお出迎え。
母さん…“様”は自分に付けるもんじゃないよ。
「三名様で。では、御席の方に御案内…─って…美月!?」
「え!?」
あ、あれ!?
ウェイターさん…母さんの影に隠れて見えないけど…
あ!
「れ…玲夜!」
ここのファミレスの黒い制服を身に纏い、お盆とメニューを抱えたカッコいいウェイターさん…。
誰かと思えば、親友の玲夜だ!
な、何で玲夜が…!?
それより、ウェイターの姿がまたカッコいい…。
これは良い客寄せになるだろうな。