小さな青春

□*小さな青春*第3弾
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「ここはどこ?
アタシは魔王?」


椎名唯は覚醒めた。
─目覚めたと読む─


パチパチと、睫の長い目を瞬かせて辺りを見れば、そこは薬品の臭いが漂う学校の保健室。


「何故アタシは保健室に」


状況が把握出来ない彼女は、また目を瞬せた。



更に説明しよう──

遡ること・・・ちょっと前。


自分に対しても偽ラブレターを送り付けた犯人に激情した椎名唯は、我を忘れて目に写る万物を破壊し尽くした─


歴戦の勇者(主に、椎名の視界に入ってしまった哀れな男子)達は敗れ─

誇り高き女戦士(参上したものの、背負い投げ一本で倒された椎名百合)も、魔王の圧倒的な力の前に屈した─


やがて、全てを破壊した魔王は自ら眠りにつき、戦いに終止符が打たれた──



要は、怒り狂って暴れて疲れて、今まで保健室のベッド上で寝ていた─
ということである。



「んむ?記憶がない…。
アタシは今まで何をしていたんだ?」


胡座(あぐら)をかいて、うーむ…と考え込んでも、我を忘れていた彼女がその間の記憶を取り戻すことはないだろう。


むむむ…と考え事の迷路に彼女が迷い込んでいると、ベッドの回りを囲むカーテンがそっと開く─
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