小さな青春

□*小さな青春*第6弾
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「久しぶり、ね」

「希望(のぞみ)か───!?オマエ・・・」

希望と呼ばれる転校生と勇気のやり取りを見て、2年3組の面々は各々友人や近くにいる生徒と「ナニナニ」「どういう関係!?」と、騒がしく話し出す。

ガヤガヤ騒がしくなってきたクラスに、一歩踏み入る女子───
やや堅い表情のその相手に、勇気は怯えた表情で一歩後退した。



柳希望(やなぎ のぞみ)

勇気の幼馴染みである───



「オマエ、大阪に行ってたハズじゃあ・・・」

「小学校六年生の時だっけ?でもつい先日、またこっちに越してきたのよ」

「なに、じゃあオマエ」

「これからは同じ高校の同級生ってわけ、よろしく、ね。
ちょっと・・・ネクタイ曲がってるよ」







「勇気、消えてしまえ」


バキッ


言い終わると同時に、顔面に勇気の鉄拳を喰らい倉見は鼻血を拭った。
柳希望が勇気との挨拶を終えて去ったあとのことである。


「言っとくぞ、お前らが思ってるような女じゃねえぞ、アイツは」

「だまれだまれだまれ!どの口だ!?どの口がそんな言葉を吐くんだ!!」

「ンだよテメェ!しがみついてくんな!!」

勇気の頬っぺたを思いっきり引っ張ってやろうと飛び掛かる倉見を、負けじと払い除けようと格闘する勇気。


「そっだぞー、東。あんな美人の彼女見せつけといて、その口振りなしっしょー」

薄い笑みを浮かべる井坂が言う。
その井坂の隣の席では、倉見同様モテないガッカリ優等生居鳥が悔しそうに歯軋りし、勇気を睨み付けている。


「だから!俺の話を聞け!」

「そんなもの必要ない!どうせあのかわいい彼女とのラブラブエピソードだろ?!聞きたくない!俺っちは聞きたくないぞぉー、うわあぁぁ!!」


柳希望は、黒い髪の襟足を一纏めにし、右耳だけ隠れ、左耳は髪をかけて見えていた。
その左耳には小さなピアス。
顔はやや幼くかわいいが、瞳は静かに落ち着いていて妙に色気があった───

倉見は、一目見てそのかわいさに卒倒したのだ。


「お前らはアイツの顔しか見えてねえ!
内側だ、問題は!!」

井坂が興味深げな顔をしたが、倉見が食って掛かった。

「俺っちだって!もっとお近づきになって希望ちゃんの内側覗きたいぜ!
心も、そして・・・マン───」

「みなまで言うな!!」

倉見の放送禁止用語発言は井坂によって間一髪封じられた。

「しかし、倉っちホント恋多き男だな」

呆れ気味に・・・いや完全に呆れて皆川が言った。


「オマエら、勝手に色々言う前にまず聞け!
いいか、アイツはな───」


キーンコーンカーンコーン


よくも悪くも、都合のいいチャイムである。
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