小さな青春

□*小さな青春*第2弾
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第18話
□入学式2□





「中々来ないね〜」

閉じたまま、開く気配の無い体育館の入口の扉を眺めながら雛形比奈乃が呟く。


「え、誰が来ないって?愛しの彼がかね?」

ニヤニヤ笑いながらヒナをからかうのは、自称“ロリコンとオタクとモエタンの味方”皆川である。


「なっ、何が!?誰!?愛しの彼って何の事ですかね!?」

「あっれー、あっしの口からわざわざ言う必要がお有りでございますかな〜?
そりゃー勿論、愛しの…T・M。で・しょ!」

「何ー!?T・Mって!
T.M.○evolution!?」

見当違いな事を言いながら目を逸らすヒナを見て、皆川は何とも満足げな笑みを浮かべている。



「T・Mって…ミツキの事?」

皆川の望む答えを見事に言い当てるのは、金髪の美少年、月白英知。
ヒナの隣の空いた席に目をやる英知。


「キャー!月白君ったらいきなり確信に迫っちゃうわけー!」

「確信って!?全然違うからね!別にミツキの事そんな風に思ってないからね!」

首を傾げる英知を余所に、勝手に盛り上がる皆川と、真っ赤な顔で皆川に反論するヒナ。

皆川とヒナの間の席に座っている松上(まつがみ)は、不機嫌そうに腕を組んで黙っている。


松上の隣の席も空いているが、それは放送委員の勤めで忙しい葉月優雅のものだ。
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