小さな青春
□*小さな青春*第2弾
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第15話
□春夏入学□
「春夏ちゃんも高校生かぁ…大きくなってねぇ…ママ、涙出ちゃうわよ…」
ホントに涙出てるよ母さん…。
夜の駅前。
この時間帯のこの場所はチャラ男やギャルが多くて好きじゃない。
でも、仕方ない。
着いて来ないと夕飯にありつけないからだ。
泣きながら歩く母さんと、それをなだめる春夏。
すれ違う人々は、二人の美女に目を奪われながらも、可笑しな光景にクスクスと笑いを漏らしている。
俺は、そんな二人から離れて後ろを歩く。
何故なら、あんな恥ずかしい人(母さん)の知り合いと思われたくないからだ。
俺達が何故この時間帯にこの場所に居るのか。
先に言ったが、これから駅前のファミレスで春夏の入学祝いを兼ねて食事をする。
明日は遂に入学式だもんな。
祝うくせにファミレス?と思う。
まぁ、何でもそのファミレスで姉の青春が働いているらしい。
そうそう、一昨日、春夏曰く“恥ずかしいトコ”を見てしまってから、春夏が俺に冷たい…。
え?春に吹く夜風とどっちが冷たいか?
春夏の方が冷たいよ…。
いいさ─良くない─、兄というものは妹から退け者にされる運命なんだ。