小さな青春

□*小さな青春*第2弾
76ページ/162ページ




第15話
□春夏入学□





「春夏ちゃんも高校生かぁ…大きくなってねぇ…ママ、涙出ちゃうわよ…」


ホントに涙出てるよ母さん…。




夜の駅前。

この時間帯のこの場所はチャラ男やギャルが多くて好きじゃない。

でも、仕方ない。

着いて来ないと夕飯にありつけないからだ。



泣きながら歩く母さんと、それをなだめる春夏。

すれ違う人々は、二人の美女に目を奪われながらも、可笑しな光景にクスクスと笑いを漏らしている。

俺は、そんな二人から離れて後ろを歩く。
何故なら、あんな恥ずかしい人(母さん)の知り合いと思われたくないからだ。



俺達が何故この時間帯にこの場所に居るのか。

先に言ったが、これから駅前のファミレスで春夏の入学祝いを兼ねて食事をする。
明日は遂に入学式だもんな。

祝うくせにファミレス?と思う。

まぁ、何でもそのファミレスで姉の青春が働いているらしい。



そうそう、一昨日、春夏曰く“恥ずかしいトコ”を見てしまってから、春夏が俺に冷たい…。

え?春に吹く夜風とどっちが冷たいか?

春夏の方が冷たいよ…。


いいさ─良くない─、兄というものは妹から退け者にされる運命なんだ。
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ