小さな青春
□*小さな青春*第3弾
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第26話
□悪には悪を以て□
静まり返った校舎──
暗闇を増し、不気味さを漂わせ始めた校舎──
教師も数人は帰宅し、外から見える職員室の灯りさえも不気味に映る──
6時を回り廊下の明かりも消えた─一階の下駄箱付近。
暗闇の中で尚も、妖しい黒い影が蠢(うご)めいていた。
「ヒヒヒ・・・」
姿を現した男は、不気味な笑いを漏らしながら、ある生徒の下駄箱へ向かう。
勿論、それは男本人の靴を入れる下駄箱ではない。
そう──この男こそが…
「ヒヒヒヒヒ」
偽ラブレター事件の犯人なのである。
「今日はぁ〜2年6組…柳希望ちゃ〜ん」
舌舐めずりしながら笑みを浮かべ、女子生徒の下駄箱を開け、ポケットに忍び込ませていたピンクの封筒を取り出して中の上履きの上に乗せる。
「ヒヒヒ…希望ちゃんはどんな顔してくれるのかな〜楽しみ〜ヒヒヒ……」
「そこまでね」
「!!」
女の声と共に、辺りの電気が徐々に光りを放ち出す。
そして、顔中にニキビが出来た男の顔がはっきりと浮かび上がり・・・
その男をキッと睨みつけて悠然と仁王立ちする、一人の女子生徒の姿を、明らかにした──