小さな青春

□*小さな青春*第4弾
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第37話
□御門一御の正体□





「ン…?─
なにやってんのアイツ…」





「ちょっと、何してんのアンタは」


少女の目の前で、少年が隠れるように木陰に身を潜め、その先のファミリーレストランの中の様子を覗いていた。


声をかけられた少年は、驚いて体をビクつかせた後、振り向いて少女の姿を捉らえると、吐き気でも催したような表情をした。


「げっ…何で初野がここに…!」

「居ちゃ悪い!?」

別に…。と言いつつも、凍矢美月の目は明らかに“悪い”と言っていた。


それを見透かしたのか、初野未来は見下ろすような目付きで、高そうなブーツをはいた足で美月の足を踏み付けた。


「ぐぎゃはッ…!!」

「フンっ、居て悪かったわね!
アンタなんかジャージのくせしてよく街出られるものね!」

「何ィ…!?はッん!
お前なんか、そんな変なカッコして!それでイケてるつもりか!!
残念ですが、英知はそんな超ヘンチクリンな服装には一切関心を持ちません!
ハイ残念でしたー!!」

「なッ…!!センス悪いアンタに言われたくない─
ていうか、アンタが英知クンを語んないでくれる!?」



はっきり言って、トップスのキャミソールはじめ…ボトムのホットパンツやアクセサリー、ブーツにバッグまで…─かなりお洒落にこだわっていると思われる服装の未来と、ジャージ姿の美月を見比べたら……

大方、未来の方がお洒落だろう──



「大体、英知クンは関係ないし…!」

とか言いつつも、両の頬を紅くする未来を『か〜わ〜い〜い〜』などとは死んでも言わず、無視を決め込んだ美月。

もちろん、後ろから頭をバッグで殴られたのだった。




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