小さな青春
□*小さな青春*第4弾
147ページ/225ページ
第38話
□恋い焦がれし乙女ヒナ□
「そうなんだよ、ミツキと初野さんが二人きりで街に──」
クラスメイトの“メガネくん”の言葉が、私の胸を締め付けた。
朝早くの教室…
生徒はまだ少なく、荷物が置かれた机はわずか。
だからこそ、廊下側での話し声も、窓際の私の席までハッキリ届く。
私の名前は雛形比奈乃─
朝も早くから気落ちする乙女…華の女子高生…─
「ねぇホント!?」
信じられず、耐え難い胸の締め付けから解放されたくて、いつものようにイケてる振る舞いで教室に入って来た親友の初野未来に飛び付く。
「ン、な…何が?」
「ミツキと二人きりで…っていうかデートしてたって!!」
「はァっ!?意味わかんな…」
「信じてたのに!!未来は月白くん一筋だって!!!!
そりゃあ、確かに憧れの男の子じゃなくて結局は喧嘩ばかりだけどいつも一緒にいた、幼なじみと結ばれるってパターンもあるけどぉ!!」
「パターン!?はァ?
ちょっと落ち着きなってヒナ!」
「これが落ち着いてられるかぁぁぁ…ぁぁあぁん…!!!」
「えっ!?泣く!?」
・
・
・
・
・